助成者インタビュー

Interview
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テニス

沢代榎音(さわしろ かのん)さん

2008年生まれ 埼玉県出身

次世代育成

インタビュー:2025/11/14

①20251114Sawashiro (87)

インタビュー企画第7弾は、テニス選手の沢代榎音さんです。
「負けず嫌いで、悔しいと泣いてしまいます」と語る沢代さんは、現在通信高校2年生。中学1年生だった2021年からITFジュニア大会を回り始めました。2024年に世代別代表としてジュニアフェドカップ出場、2025年にはナショナルジュニア(U‐17)に選出。ジュニア世界ランキングは32位で、日本人女子1位(2025年11月17日現在)と、世界を舞台に活躍を続けています。
2025年に当財団の助成を受けたさん沢代さんに、テニスを始めたきっかけや競技をする上で感じていること、そして目指す選手像についてお話を伺いました。
インタビュー:2025年11月14日

錦織圭選手の活躍に「楽しそう」

テニスを始めたのは、小学1年生の10月のこと。錦織圭選手が全米オープンで準優勝した試合を、偶然テレビで見たことがきっかけです。テニスを見たのはそのときが初めてだったのですが、なんだか楽しそうで、私もやってみたいと思ったことを覚えています。
早速近所のテニスアカデミーの「ジュニアクラス」に入りました。ボールを打ち返すのがただただ楽しく、週1回だったレッスンをすぐに2回に増やしてもらうほどハマりました。
ところがあるとき、同じ小学校の子が2人、私のクラスの前の時間に開かれる「育成クラス」に通っていることに気がつきました。プロを目指して本格的にテニスに取り組むクラスというだけあって、みんなすごく上手で、コーチとしっかりとラリーをしていたのが印象的でした。
レッスンが始まる時刻より早めに行ってはその様子を眺めていたのですが、「自分もみんなのように強くなって、あんなふうにラリーしたい」との思いが次第に強くなり、従来のレッスンに加え、小学2年の4月から育成クラスにも通い始めました。

本格指導に食らいつく

入ってみると、育成クラスはジュニアクラスとは全く違うことに驚きました。まず、レッスンは週7回、つまり毎日です。また、コーチは同じ人なのに、別人かと思うほど指導が厳しかったです。レッスン内容も基本練習と走りがほとんどで、あんなに楽しそうに見えたラリーは最後に行う程度。そのため、ジュニアクラスで思いっきりラリーを楽しんでいました。

初めて試合をしたのも、2年のときです。練習試合でしたが、全然ポイントが取れずに負けました。基本、負けず嫌いで、負けると泣くタイプなんです。市内のフラフープ大会や縄跳び大会で2位になったことがあるのですが、そのときも1位になれないことが悔しくて泣いたほど。でも、あの練習試合のときは悔しいという感情は湧いてきませんでした。それよりも強い選手に対して素直にすごいなと思えましたし、そんな選手と戦えて楽しかったです。

世界で活躍するプロになるために

海外で初めてプレーしたのは小学4年生で、中学2年から海外ツアーを回り始めました。それまでもプロ選手になりたいと思っていたのですが、世界を回るようになってからは、世界で活躍できる選手になりたい、と目標がより明確になりました。

当時から、今に至るまで、私のプレースタイルは、走りまくって粘り強くラリーし、相手のミスを誘うというもの。走らされたときのカウンターショットも得意です。ただ、158センチとテニス選手としては小柄ということもあり、もっと上の年代になったら守備中心の戦い方では勝てなくなると、すでにコーチから指摘されています。
今後勝っていくためには攻守のバランスを良くすることが必要との考えから、現在は自分からショットを打ちに行ったり、クロスからストレートに展開したりと「攻める」練習に取り組んでいる最中です。その点、メキシコのレナータ・ザラズア選手は、身長約160センチでプレースタイルも似ているため、たびたび動画を見て参考にしています。

また、育成クラスで常に走らされていたおかげで、いまも体力には自信があるのですが、今後は強度の高い試合を戦い抜くためにも、全身の筋力強化が必須になります。これまでは身長が伸びている最中だったため、筋力トレーニングをしてこなかったのですが、今後はバーベルなどを使いながら全身の筋力を上げることを目指します。

メンタル面にも課題があります。接戦になったり相手が強気で打ちに来たりすると、どうしてもミスしやすくなるのですが、それは自信が持ち切れていないからだと考えています。現在は、試合前にやるべきことを紙に書いて確認。試合後は反省点をメンタルトレーナーにメッセージアプリで送り、それに対してアドバイスをもらうなどしながら、メンタルの強化に取り組んでいるところです。

助成金を受けた2025年の活動に関して

世界中で行われているITFジュニアテニス大会に参加しています。1月はオーストラリア、2月はタイ、3月エジプト、4月マレーシア……と年間を通じて世界中を飛び回っているため、助成金はその海外遠征費に使わせていただいています。
海外遠征にはそれなりの資金が必要です。私の場合、コーチに帯同していただいているため、基本的には宿泊費や食事代、航空券代などの交通費がそれぞれ2人分と、コーチの帯同費がかかります。大会の勝ち上がり具合で宿泊日数や移動日が変わるため、航空券などの早割サービスが使えないのもネックです。大会のエントリー費も少しずつ値上がりしています。現在のところ、1年間に約700万円かかっているのですが、為替の変動次第で、今後どうなるかわかりません。
現在は資金面からアジア中心に回らざるを得ないのですが、もし資金に余裕ができたら、実力をつけるために欧米の大会にももっと参加したいです。また、全豪オープンという最高レベルの大会に参加した際、試合後に全身がけいれんしたことから、食事を含めたコンディション調整の大切さを痛感しています。可能であればトレーナーさんにも帯同していただけると安心です。

応援される選手を目指して

現時点での最高成績は2025年のウィンブルドンジュニアでのベスト16なのですが、ゆくゆくはシニアのグランドスラム大会で活躍して優勝したいです。また、WTA世界ランキング50位以内に入ることも目標にしています。そのためにも、攻守のバランスのよいプレーで勝ち星を挙げられるようになっていきたいです。

また、いろいろな人に応援される選手になれたらとも思っています。私が男子で一番好きな選手だったラファエル・ナダルさんは、たとえ試合に負けた後でもファン全員にサインを書いていました。まだ会ったことはありませんが、きっとファンやスポンサーなどまわりの人に常に感謝できる方だと思うので、私もナダルさんのような人格者になれるようがんばります。

⑥20251114Sawashiro (2978)

試合中でも涙が出ることがあり、「セットの合間に、タオルで汗を拭くふりをして涙をぬぐいます。試合後に一人で泣くこともあります」とのこと。テニスにかける熱い思いが伝わってくるようです。通信高校に在籍する高校生でもあり、「海外の選手とダブルスを組むので、英語は必須。テニス用語はなんとかなりますが、もっと話せるようになりたい」と、英語の勉強にも力を入れているそう。グランドスラムのセンターコートで優勝杯を掲げる日が来ることを心から祈っています!